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D2Cブランドへの投資が成長と効率化を後押し

eコマースビジネスを買収すべく多額の資金を調達する新興企業が増えています。こうした投資はD2Cブランドにどのようなメリットをもたらすのでしょうか?

Source: Gettyimagesbank

加速するeコマースの成長により、オンライン上の小売事業は企業や投資家の間でポピュラーになりました。過去1年間で最も収益性の高い業界のひとつであることに加えて、eコマースは今日最も売れているビジネスの1つでもあります。

事業統合は主要な業界で行われていることであり、事業買収は特段新しい概念ではありません。デジタル領域でユニリーバやP&Gのような存在になるべく、M&Aファームは小さな売り手を拾い上げ、収益性のある企業ポートフォリオを構成しています。

一般に「ロールアップ企業」または「アグリゲーター」として知られているこうしたM&A企業は、さまざまなeコマースプラットフォームで成功しているPBブランド、Direct-to-Consumer(D2C)ブランド、およびサードパーティのECモールを買収しています。2010年代初頭はまだまだニッチな出来事でしたが、eコマースビジネスの買収は今や数十億ドル規模の業界になっています。Marketplace Pulseによると、買収側の企業は2020年に10億ドル近くを調達しました。そして、2021年5月までに、その数字は56億ドル以上に上昇しています。

D2Cブランドの創設や獲得が魅力的である理由

中小企業は自社のアイデアを実現するために一生懸命働いていますが、継続的な成功を確かなものにするための資本または運用能力を持っていない可能性があります。より多くのロールアップ企業が市場に参入するにつれて、D2Cブランドにとっての成長の機会は益々増えてきています。

eコマースの売上高は2020年に4.28兆ドルに達し、2022年までに5.4兆ドルに成長する見込みです。この成長に寄与しているのは、オンラインで生まれたブランドだけではありません。コロナ禍により実店舗のビジネスが減速または閉鎖したため、ナイキ、ロレアル、アンダーアーマー、アディダスなど従来のオフラインベースのブランドは、D2Cモデルへの移行を加速し、オンライン販売の増加を成し遂げています。高いポテンシャルを見込んで、発案者や買収者は、認知度、トラフィック、収益性、拡張性を備えたブランドを探しています。このことは、これらの基準を満たすオンラインビジネスを運営する小売事業者にとって有益な事実です。

サードパーティのECモールでの販売者とは異なり、D2Cブランドには、オファーを改善し、より良いビジネス戦略を構築するために活用できる自前の消費者インサイトがあります。こうした将来の事業計画と予測を投資家や買収者に共有して、ブランドとロールアップ企業にとって有益な成長余地があることを示すことができます。

D2Cブランドは市場で大きなパワーをもちつつあり、Amazonも気に留めています。Eコマース最大手のAmazonは最近、ShopifyのD2Cビジネスモデルの一部をコピーすることを目的としたチームProject Santosを立ち上げました。Amazonはまた、D2Cセクターでの競争力を高めるべく小売事業者の求心力を高めようとしています。中小企業のオンライン販売を支援するオーストラリアの新興企業であるSelzのAmazonによる買収は、D2Cがeコマースビジネスにおける重要項目に急速になりつつあることを示唆しています。

ロールアップ企業がD2Cブランドにもたらすもの

大抵の買収会社はバイアウトを通じて運営されていますが、会社の株式と引き換えに事業に投資する会社もあります。ロールアウト企業は、専門知識、資本、コネクションを活用して小売事業者の成長加速を促進し、生産を拡大し、運用を合理化し、コストを最適化して、ブランドがローカル市場でより競争力を高め、世界中で認知されるようにします。

「中小企業は成功したとしても、ビジネスを効果的に機能させるための基本的な要素が不足していることが多いのですが、ロールアップ企業によって彼らに専門知識を加えることができます」と、Triangle CapitalのパートナーでM&Aの専門家であるRichard Kestenbaum氏は説明します。

以下のCafe24の導入企業は、独立したeコマースビジネスとして大きな成功を収めています。

・GP Club: 同社の化粧品ラインであるJM Solutionは、2018年に4億7000万ドルの売上を記録し、2016年の発売時から10倍にまで増加しました。中国の消費者と中国市場に対する深い理解と、継続的に高い需要を生み出す革新的な製品が、更なる成長のために消費者の関心を惹きつけ、ロイヤリティを高めるブランドの力を示しています。
・Andar: 同ブランドの創設者は、快適さ、革新的なデザイン、製品の多様性を優先して、毎日着用できるAndarのアスレジャー製品の製造に直接携わっています。骨盤の縫い目がないAndarのユニークなデザインは、現在アジアと米国の消費者を引き付けるユニークな要素をブランドに与えています。ブランドの取り組みは、2018年に3,280万ドルの収益につながり、4年間で40倍にも成長しました。アスレジャーは世界中の消費者の間でトレンドであり続けているため、Andarの成長余地はまだまだあるといえるでしょう。

・INSTANTFUNK: INSTANTFUNKの服は、その快適さとスタイルで男性女性問わず人気があります。2018年、同社は前年比400%の売上増を達成しました。INSTANT FUNKは、最新のファッショントレンドが発表されたらそれを反映するよう努めており、新規客およびリピーターに購入し続ける理由を提供しています。日本国内に期間限定ストアをオープンした際も好評でしたし、欧米の消費者の関心も集め続けています。
INSTANTFUNKの成長軌道は投資会社から資本を集め、それ以来、各ブランドはグローバルに事業を拡大することができました。こうした投資により、INSTANT FUNKは在庫を増やし、期間限定ストアを開き、新製品を開発し、サプライヤーやメーカーとのパートナーシップを確保するための資本を増やすことができました。

買収者は、長期的に売上と利益を上げることができる製品を提供するブランド=前向きなビジネスを求めています。最も良い例の1つは、ライフスタイル会社Nanda Co.Ltdです。

Nandaは2004年にアパレルブランド「Style nanda」としてスタートし、それ以来、メイクアップブランドである3CEによって牽引されてきました。同社はオンラインのみのブランドとして控えめなスタートを切りましたが、Nandaは成長するにしたがって複数のオフラインストアのオープンにもこぎつけました。韓国や中国のミレニアル世代等の間で人気が高まり、2017年のNandaの売上高は1億5200万ドルにまで上り、最終的には2018年ロレアルに買収されることに至ります。ロレアルによる買収により、「Style nanda」と「3CE」は、ロレアルの莫大な資本とブランド力を海外で活用できるようになりました。

Cafe24が小売事業者を明るい未来に導く

ナイキやロレアルなどの有名企業がD2Cに深く入り込んでいることから、D2Cというビジネスモデルがeコマースの推進力であることは明らかだとわかります。投資家とロールアップ企業はD2Cの力を素早く認識し、ポートフォリオに成長の可能性のあるブランドを追加すべく市場に飛び込んでいます。

消費者データを活用する機能により、D2Cブランドは消費者をよりよく理解できるため、さまざまな顧客の好みに応じてショッピング体験をパーソナライズできます。企業は転換率を改善し、ブランドロイヤルティを呼び込み、有機的な支援を増やすことで、既存および潜在的な消費者により良い対応をすることができるようになります。また、D2Cブランドはより広い範囲で消費者インサイトを利用し、より大きなグローバル企業と同等な立場を保ちつつ、絶えず変化するeコマースの状況に適応して革新することができます。独立したブランドが市場や主要な企業支援システムと同じ品質のサービスを顧客に提供できるという事実は、投資家や買収者に対し、そのブランドが背景にもつ価値のアピールにつながります。

アイデアを実現し、ビジネスを成長させたい小売事業者は、必要なものすべてをCafe24で揃えることができます。Cafe24のD2C志向のeコマースプラットフォームは、スタートアップ企業の参入障壁を下げる専門知識とツールを提供しています。Cafe24は、ブランドがさらなる成長を目指し、海外市場で活躍することをサポートします。

投資家やロールアップ企業から資本が流入するにつれて、D2Cブランドはさらに成長し、より高効率になっていくでしょう。これらの投資により、企業は既存のオファーを改善し、新製品を開発し、他の市場セグメントを探索して、eコマースの市場全体で競争力を維持することができるのです。

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