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コマースの未来に向けた取り組み

新型コロナウイルスの感染拡大は、人々のライフスタイルを急速に変えています。次世代のネットショップと実店舗は、多様化するニーズに対応すべく準備を進めています。

モバイルストアの新時代を告げるトヨタe-Palette

Source: Gettyimagesbank

2018年1月、トヨタは自動車メーカーのモビリティサービスプラットフォームとして自動運転車「イーパレット(e-Palette)」を世界最大の技術見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で発表しました。e-Paletteは、交通手段を提供するだけでなく、小売店、診療所、研究所として使用できる移動スペースを提供するため設計された全自動運転車両です。例えば、ECサイトで靴を注文すると、e-Paletteは、ユーザーが希望した時間に靴屋を玄関先に届けます。この移動販売店は、従来の靴屋のように、多彩な靴を試着し購入することができます。自動運転車両には、靴のかかとの交換などのサービスを提供するロボットも搭載されています。

e-Paletteを発表したことにより、トヨタはCES 2018で最も注目を集めました。同社の野心はそこで止まることなく、CES 2020では「Woven City(ウーブン・シティ)」と呼ばれる未来の都市を建設する計画を発表しました。この都市は、e-Paletteがメイン車両となり、完全にデジタル化され、自動化、ロボット工学、スマートホーム、AI、モバイルテクノロジーの統合を支援するよう設計されます。

トヨタ自動車の豊田章男社長は、「小規模でも、完全な都市をゼロから構築することは、都市インフラのデジタルオペレーティングシステムなど将来の技術を開発するまたとない機会です」と述べています。e-Paletteは主にウーブン・シティで輸送と配達に使用され、販売スペース、ホテルの一室、オフィスなどの追加機能も提供します。トヨタは2021年にウーブン・シティを発表するという大胆な約束をしました。

D2Cブランドのモバイルストア

Source: Gettyimagesbank

トヨタのアプローチは、オンラインとオフラインの相互作用が将来どのように収束するかを示唆しているようです。消費者がオンラインで買い物リストを作成し、リストアップした商品を届けることで、より楽しいオフラインショッピング体験を提供する新世代のビジネスが誕生します。

トヨタは、e-Paletteの立ち上げにおいて有数の企業と提携しました。その中には、Amazonのような大手ECモール、Didi Chuxing(滴滴出行:ディディチューシン)のようなモバイルサービス、さらにはPizza Hutのようなフランチャイズも含まれています。BtoC企業であれば、自動車メーカーと提携しe-Paletteを利用できることを示しています。

このようなコマースとモバイルの融合は、最近注目を集めているeコマースのトレンドである「ダイレクト・トゥ・コンシューマー(D2C)」の観点から見ることができます。D2Cは、企業がネットショップを通じて消費者に自社製品を直接消費者に届ける商取引形態です。D2Cビジネスを自動運転車両に組み入れることで、中小企業は地下駐車場に共有倉庫を設置し、注文が入るたびにe-Paletteで発送ができます。

Cafe24のようなECプラットフォームが、オンラインビジネスのハードルを取り除くのに役立つのであれば、モバイルとコマースの融合により、企業はスペースの制約から解放されることとなります。

新世代の実店舗に影響を与えるCOVID-19

Source: Gettyimagesbank

COVID-19の世界的な危機は、人々のライフスタイルの変化を加速させました。IBMが5月と6月に18,000人以上のアメリカ人を対象に行った調査によると、回答者の60%以上が、今後数年間でCOVID-19のようなパンデミックが起こると予想しています。回答者の中には、都市から郊外への移転を検討しているとコメントもあり、リモートワークが日常生活の一部になっていると答えた人もいます。

これらの変化は、我々の生活に欠かせないビジネスの急速な変化を示しています。今では、個人が買える高額な買い物の一つである不動産物件でさえ、オンラインで取引されています。また、以前は実店舗へ行く必要があった携帯電話も、現在ではオンラインでも購入することができます。

YouTube主導の新しいビデオコンテンツの時代において、ショッピングが遊びの1つとなりより楽しくなりました。e-Paletteのように、D2Cブランドのモバイルストアは、従来の実店舗の複雑さを差し引き、ネットショッピングを通じて新しいエンターテインメントを提供します。

近いうちに、Eコマースとオフラインコマースの区別がなくなると予想されます。ビジネスは市場や消費者のニーズに合わせてセグメントが想定されています。従来とは違って、新世代では店舗を1つの販売チャネルで対応することは不可能になります。これは、パンデミック後の世界に期待できる変化のひとつです。

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