新型コロナウイルスは、世界中の人々の生活を一変させました。様々な産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進させ、とりわけeコマースの成長を加速させました。「コンタクトレス(非接触型)コマース」において、Cafe24はコマースと小売業で起こるニューノーマルに注目しています。
新型コロナウイルスは、私たちの生活に大きな変化をもたらしました。世界中でロックダウンやコミュニティの隔離が行われ、私たちは日常生活を送るためにオンライン上で買い物をしたり、サービスの利用手続きを行ったりするようになりました。また、企業や機関は、消費者の変化するニーズに対応するため、後回しにしていたDX化を早急に進める必要が出てきたのです。
今回のパンデミックは、デジタルコマースを含む多くの業界にとって決定的な転換点になりました。以前からすでに伸びていたeコマースは、2020年には18.4%の成長が見込まれていましたが、今回の世界的なパンデミックにより、この予想を遥かに上回ることになりました。その結果、2020年末までに、世界のeコマースは27.6%拡大し、総売上高は4兆2,800億ドルに達したのです。
しかし、小売業界の変化はEC 化率の急増に留まりません。消費者の行動の変化から業界全体のデジタル化まで、小売業界に様々な影響を及ぼしたのです。小売業界への消費者の期待の変化と企業として社会の変化に応えるべき命題が、コンタクトレスコマースやタッチフリー・リテールの急成長に繋がりました。
コンタクトレスコマースは、物理的な接触を最小限、または全く必要としない環境での買い物のあり方です。今日の消費者は、自宅にいながらにして安全かつ便利に商品を購入したいと考えています。そのため、小売事業者やその他企業は、5G、クラウドプラットフォーム、人工知能、アナリティクスなどのデジタル技術を用いて、新たな購買体験を提供しなければなりません。このような戦略の変化が、eコマースにおけるニューノーマルを形作るのです。
新しい購買体験の浸透
私たちの生活、仕事、勉強、コミュニケーションの方法は大きく変わりました。しかし、最も大きく変化したのは買い物の仕方です。パンデミックに耐え忍び、新しい生活様式に慣れるために、新しい買い物のスタイルを築き始めました。そして、パンデミックの影響により、自身のライフスタイルを見直すことになったのです。その結果、新たな顧客セグメンテーションが生まれます。
Deloitteは、コンタクトレス・エコノミーから生まれる可能性のある新しいペルソナとして、Touchless Store Experiencers(タッチレスストアエクスペリエンサー)、Drive-through Customers(ドライブスルーカスタマー)、Shut-in Shoppers(シャットインショッパー)、Virtual Patrons(ヴァーチャルパトロン)を挙げています。これらの顧客セグメンテーションは、何を買うか、どこで買うか、商品に対してどのように反応するかでペルソナを分類します。
健康と安全が最優先事項であることに変わりはありません。ロックダウンが緩和され、ビジネスが再開されても、多くの人が家にいることを選んでいます。Placer.aiによると、2020年3月の外出率は前年に比べて26%減少しました。2020年6月までに多少は外出する人が増えましたが、それでも昨年と比較すると依然として毎月13%から18%の割合で落ち込んでいます。これは、消費者がまだ外で買い物をすることに慎重になっているため、実店舗の入店頻度が減っている傾向にあります。
多くの人は、外出して実店舗で買い物をすることにまだ慎重ですが、オンラインで外国から購入することには抵抗がありません。全世界の越境ECにおける売上は、2020年上半期に前年同期比で21%増加しています。越境ECにおける高級品の売上も、世界185カ国で17.5%増加しているのです。
推計によると、新規ユーザーや購入頻度の低いユーザーのeコマース利用額は、パンデミック後に169%増加すると言われています。非接触決済やソーシャルメディアを通じたショッピング、バーチャル診察、デリバリーサービスなど、消費者はデジタルサービスを利用する選択肢を増やしています。東南アジアでは、デジタルサービス利用者の3人に1人がパンデミックによる新規利用者です。また、90%以上の人が、今後もこれらのサービスを利用する意向を示しています。
起業家はデジタルベースへ
「パンデミック・プレナー」と呼ばれる、オンラインに新たに進出する小売事業者が増えています。パンデミック・プレナーのことをフォーブス誌は、パンデミックを受けて新しいビジネスを探している起業家たち、と表現しています。パンデミック・プレナーは、時間をかけずにネットショップを開設し、オンライン上で新しい販売機会を見つけることで、新たな販路を確立する戦略をとっています。事業はリモートワークで行うのが特徴です。
オンラインビジネスを始めるために必要なものをすべて提供するワンストップソリューションによって、オンライン起業の新しいトレンドは加速しています。Cafe24のeコマースプラットフォームでは、誰でも無料でオンラインビジネスを始めることができます。アカウントを作成するだけで、D2C(Direct-to-Consumer)ブランドのストア構築、決済、物流、マーケティングなどのサービスを受けることができます。
Cafe24は、2020年に132,000店以上の新規店舗をオープンしました。過去5年間の新規店舗数の記録を更新したのです。前年比23%の増加により、Cafe24を利用した店舗の総数は2020年に184万店を超えました。グローバル規模のeコマース市場の拡大に伴い、今後も店舗数は増え続けるでしょう。
ソーシャルメディア大手のFacebookも、起業家がすぐに始められるオンラインビジネスソリューションを提供しています。Facebookは、2020年3月にeコマースでソーシャルメディアにおいてイニシアチブをとるFacebookショップを発表し、小売事業者がオンラインで成長する機会を提供しています。Facebookのアプリを利用している世界中のユーザー数は33億人にのぼり、その影響力は計り知れません。
また、Facebookの無料ツールを利用して消費者とやり取りをしている企業は、2019年の1億4,000万社から増加し、2020年にはすでに2億社に達しています。Facebookショップのグローバル展開により、より多くの小売事業者や企業がこの機能を利用することが期待されるでしょう。
Cafe24とFacebookは最近、D2CとFacebookショップの統合を促進するために提携しました。このパートナーシップにより、cafe24のもつeコマース業界の専門知識と、Facebookの圧倒的なリーチ数を活用できるようになることで、あらゆる規模の企業がグローバル市場で成功する機会を得ました。
中小企業や大手企業によるD2Cブランドの立ち上げ
コロナウイルスが発生する以前から、D2Cはeコマースにおいて急成長しているトレンドの一つでした。D2Cの販売モデルでは、ブランドは独立した自社ECサイトを通じて消費者に直接販売することができます。また消費者との関係やデータをより細かく管理していることが特徴といえるでしょう。現在、消費者との対面販売には制限があるため、消費者のニーズを把握し、それに応えることが難しくなっています。しかし、D2C上での販売データが下記4点の強化に役立つ貴重なインサイトを提供しているのです。
- シームレスなオンラインカスタマー体験の提供
- CVRとLTVの向上
- CRMの改善
- サプライチェーンマネジメントの強化
D2Cは、このような厳しい時代を乗り越えられる販売モデルといえるでしょう。実店舗の閉鎖が増える中、D2Cとデジタル・ネイティブなブランドは、変化する市場環境に素早く対応しています。昨年、大規模で伝統的な小売業者の80%が売上の減少に苦しんだのに対し、D2Cブランドのわずか22%だけが売上が減少、52%は売上が増加しています。食品・飲料業界のようなオフラインを主戦場にしていた業界も含む、あらゆる業界が今まで以上にD2Cに移行しているのです。
現代のコンタクトレス・エコノミーの需要に対応するべく、既存の中小企業の多くは、事業戦略の中心を実店舗からオンラインに移行しました。その後、すぐにD2C中心のビジネス戦略を採用し、D2Cブランドをさまざまな外部チャネルに展開し、タッチフリーでありながらシームレスなショッピング体験を実現しました。
また、大手企業も急激なデジタル化の動きに注目しています。伝統的にオフラインをベースにしている多くの企業は、何年も前からDXを実行できていませんでした。近年の実店舗の閉鎖や、消費者がデジタルチャネルを求めていることにより、ついにオンラインプラットフォームの立ち上げや改善に踏み切ったのです。現在、大手企業はD2Cを導入し、更により効果的なグローバル販売チャネルを模索しています。
今回のパンデミックで、多くの企業が、業務をオンライン化することによる効果を実感しました。このようなビジネスのオンラインへの移行は、今後も続いていくでしょう。
ハイパーコネクティビティがもたらすeコマースビジネスの未来
デジタル化が急速に進んでいる今日、コマース業界は第4次産業革命(4IR)の時代に突入しています。スマートテクノロジーは、従来の小売業の自動化を推し進め、デジタルと現実の世界を融合させています。コンタクトレス・エコノミーは、このような進歩を見事に表現しています。
ハイパーコネクティビティは、4IRとコンタクトレス・エコノミーにおいて、重要な役割を果たします。ハイパーコネクティビティは、様々なプロセスを単一のネットワークで体系的に結びつけ、デバイスやソーシャルネットワークなどのプラットフォームを通じて、人と機械を最適な形で連携させます。
eコマースでは、ハイパーコネクテッド・エコシステムにより、小売事業者は複数のサービスプロバイダーやパートナーと瞬時に統合し、シームレスな店舗運営を行うことができます。また、商品登録、マーケティング、決済、注文管理、配送、カスタマーサービスなど、店舗運営におけるさまざまな側面をエコシステムの中で効率化することができます。
Cafe24は、現在のようなオンライン化が進んだ世界を見据えて、ハイパーコネクティビティを核としたeコマースプラットフォームを構築してきました。このような時代に対応するために、Cafe24はインフラとパートナーネットワークの整備を長い間行っていました。
この戦略の結果、商品供給、運営、マーケティングなど、あらゆる規模の企業がワンストップで店舗運営を行うことができる強固なプラットフォームが完成しました。さらに、Cafe24は、eコマース業界において開発者、代理店、パートナーなどと言った業界関係者との広大なネットワークを持っています。
このようなサポート体制により、Cafe24を利用している事業者は、ビジネスを円滑に運営するために必要なあらゆる支援を受けることができます。そして、商品開発やブランディングに注力することで、商品の差別化を図り、オンラインを中心とした新しいコマース環境の中で成長していくことができるのです。
① パンデミックの中で生まれる新しい経済
② オンラインショッピングではAR・VR体験が主流に
③ パーソナライズが今後のコンタクトレスコマースの要に
④ 越境ECに成長機会を見出す小売事業者たち
⑤ 次世代ECとなるソーシャルコマース・ライブコマース
⑥ Cafe24とのパートナーシップが事業者成功のカギ