後払い決済サービス(略してBNPL)は、消費者が購入金額をすぐ支払うことなく買い物が可能になる決済サービスです。BNPLの支払いスキームは、後から一括で支払う場合もあれば、分割の場合もあります。
サービスの仕組み:BNPLとクレジットカードの違い
eコマースの小売事業者は、分割払いに対応したペイメントゲートウェイ(PG)を利用することで、自店舗での支払い方法の選択肢にBNPLを追加することができます。
各企業には、BNPLプログラムに関する一連の契約条件がありますが、通常以下の流れになっています。
- 消費者は商品を購入する際、決済時にBNPLを選択します。
- 決済が承認された後、消費者は商品価格の25%などの少額の頭金を支払います。
- 消費者は、残りの金額を無利子の分割払いで支払います。
- 消費者は、デビットカード、銀行口座振替、またはクレジットカードを使用した自動引き落としで残額を支払うことができます。
BNPLとクレジットカードは実際の金銭的支払いがその場ではなく後になるのが共通点ですが、いくつかの違いがあります。クレジットカードは毎月の最低支払額のみを必要とし、全額が支払われるまで残りの金額に利息がかかります。消費者は、クレジットカードでその月の必要最低支払い額を支払うことができる限り、その他の現金残高を自由に使うことが可能です。
一方BNPLの場合、消費者は決められたスケジュールに従って、毎回一定の金額を支払う必要があります。通常、BNPLには利息はありませんが、支払いが遅れると追加料金が発生する場合があります。
大抵のBNPLサービスは、承認のためにソフトクレジットチェックのみを必要とします。また、消費者はBNPLを利用するにあたって必ずしもクレジットカードを所持している必要はありません。
注意しなければいけないのは、D2C(Direct-to-Consumer)ストアのすべての製品がBNPL決済の対象となるとは限らない点です。例えば、この支払方法を利用する際、消費者に支払い限度額が設定される場合があります。しかしそれでもなお、BNPLはeコマースにおいて魅力的な決済手段なのです。
増加するBNPLの利用数
BNPLは、オンラインショッピングの支払いオプションとして益々支持されるようになっています。
Ascentは、2020年7月と2021年3月にBNPLの習慣についてアメリカの消費者を対象に調査しました。調査結果は次のことを示しています。
- 2021年には消費者の8%がBNPLを使用し、2020年7月の37.65%の約1.5倍となった。
- BNPL消費者の36%が少なくとも月に1回サービスを利用している。
- 2020年7月から2021年3月までのBNPL利用の伸びは、18〜24歳のグループで62%、55歳以上の消費者で98%となった。
また、この調査によると、BNPL消費者の62%はBNPLがクレジットカードに代替可能かもしれないと考えています。
BNPLがeコマース事業者にもたらすメリット
消費者がBNPLサービスを選択する理由はいくつかあります。経済的柔軟性を高めるために選択する人もいれば、クレジットカードの利息を支払わないために選択する人もいます。また、予算を超えて高額商品を購入するために選択する人もいます。
では、この消費者行動はどのように小売事業者に利益をもたらすのでしょうか?
・競争力の維持する
Juniper Researchによると、世界のBNPL支出は2026年に9,950億ドルに達する可能性があるとされています。この市場のシェア獲得を狙う小売事業者は、競争力を維持するためにBNPLを統合することを検討する必要があります。BNPLサービスを統合することで、D2Cブランドのサービスを改善し、利用回数と支払金額を向上させ、ブランドを成長軌道に乗せることができます。
・より多くの潜在顧客にリーチする
D2Cブランドは、消費者にとっての支払いトータルコストを数か月に分割することで、高い買い物を手頃な価格に見せることができます。そうすることで、消費者の中では必ずしも金銭的に余裕があるわけではない若年層をはじめ、多くの潜在顧客を引き付けることができます。
・売上を伸ばす
Strawhecker Groupの調査によると、消費者の55%は他の支払い方法を選択したときと比べて、BNPLを選択した際にはより高い買い物をする傾向があり、平均支出は312ドルとなっています。BNPLという選択肢を提供することにより、小売事業者は、特に高額商品の販売機会を増やすことができます。
・カート離脱を減らす
Baymard Instituteの調査によると、消費者の49%は、追加費用が高いことを理由にカートから離脱しています。また7%の消費者は、希望する支払い方法がないために離脱したと答えました。BNPLを活用することで、小売事業者は消費者に、より多くの支払いオプションを提供するだけでなく、コストを軽減する選択にもなるので、上記の離脱の対策とすることができます。
・顧客生涯価値(LTV)を高める
過去5年間で顧客獲得コストは50%以上も増加しており、現在の顧客を維持することの重要性が高まっています。BNPLを利用すると、顧客は一定期間にわたって支払いを延長できるため、ブランドとのエンゲージメントをより長く維持でき、最終的にはより長い顧客維持及びより高いLTVにつながります。
Cafe24で支払い方法の選択肢を増やす
最近のPYMNTSの調査から、BNPLの人気が高まっている理由についてより多くのインサイト(洞察)が得られました。この調査によると、消費者はBNPLを「予算を意識した買い物方法」と見なしており、39.1%の人がBNPLを使用して支出金額を注意深く気にかけています。さらに、消費者の42%近くが、オンラインで購入する際には条件の明確さが重要な優先事項であると述べています。
消費者が自身の消費習慣をより管理できるようにすべく、Cafe24の小売事業者はMaster SkinのBNPLサービスを利用できます。Master SkinのBNPLはCafe24 Storeで入手でき、BNPLオプションに関する情報を取得して、製品の詳細ページに表示します。また、支払い方法のオプションは、消費者が選択したPGに応じて自動的に更新されます。
支払い方法としてBNPLを加え、Master SkinのBNPLサービスを統合することによって、小売事業者は消費者に購入プロセスを通じて、支払い方法・条件に付いて十分な情報を消費者に提供することが可能です。それによって、消費者はより満足度高く購入意思決定を行えるようになります。