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ECビジネスを拡大する韓国発アパレルブランド

国際的に高い評価を受けている韓国のファッションデザイナーは、ブランドの認知度向上のため継続的にECを活用しています。

Source : pixabay

ファッション業界はこれまで実店舗に依存して成長してきました。有名なファッションデザイナーは、シーズンごとにファッションショーで最新コレクションを発表します。ショーを行うことにより、ブランドは有名デパートやセレクトショップへの卸売りの販売機会を得ることになります。

しかし、近年の業界の販売方法には変化が見受けられます。ECの可能性をすばやく察知した韓国のファッションデザイナーたちは多くの顧客へリーチを広げるために、D2C(直接販売)ブランドの立上げを選択しています。この変化はデザイナーがネットショップ構築にあたり、高度な専門知識がなくてもビジネスの運営ができるCafe24のエコシステムの出現に伴い加速しています。

D2Cを通じてより多くのお客様と関わるデザイナー

Source : MSKN2ND

デザイナーのクォン・ムンスは、サンフランシスコの美術大学でメンズウェアの学位を取得し、 アンドリュー・バックラーで5シーズンのデザイナーを務めました。2017年、クォンはスポンサーのアルマーニからサポートを受け、世界四大ファッションショーの1つであるミラノ・ファッション・ウィークで自身のコレクションを発表しました。

2011年にクォンはアメリカで1つ目のメンズブランド、ムンスクォン(MUNSOOKWON) を立ち上げました。5年後、快適で実用性あるデザインの2つ目のレーベル、ムンスクォンセカンド(MSKN2ND)を立ち上げました。クォンは「もっと多くのお店で自分の服が欲しかったので、セカンドブランドを作ることにしました。」と述べます。

ムンスクォンは、バイヤーが注文した後に生産に入る卸売をしています。一方で、ムンスクォンセカンドはネットショップを通じてお客様に直接販売しています。

Source : KYE

デザイナーのキャサリン・ハンヒ・カイは、以前D2Cの自社サイトを通じてシーズン限定コレクションの予約注文を受けていました。現在はネットショップ販売に力を入れ、多くの注文を受けています。

カイはロンドンで有名な芸術大学セントラル・セント・マーティンズ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン卒業直後の2011年にロンドン・ファッション・ウィークでデビューしました。同年6月にカイ(KYE)を立ち上げ、2012年にカイの自社サイトをオープンしました。2014年には、高級ブランドを保有するLVMHグループのファッション・コンテスト「LVMHプライズ」で準決勝進出者となりました。

カイは「私たちは比較的高い割合で卸売業者に販売しています。しかし、メインの販売チャネルをオンラインで確立するために、様々なコンテンツを準備しています。」と述べます。カイによると、トレンド商品はD2Cを通じて販売する傾向があるそうです。

Source : LOW CLASSIC

一部のブランドは、まずネットショップでの存在感を確立した後に、現実世界に変換します。デザイナーイ・ミョンシンのロウクラシック(LOW CLASSIC)は、そのような例の1つです。イは「デザイナーは自立するべきだと私は信じており、ロウクラシックを立ち上げた際にはECに集中しました。自分のデザインを直ぐにお客様へお見せしたいと考えており、まさにネットショップはそれができる場所でした。」と語ります。

ロウクラシックは、2018年に247 Showroomにオープンし、ビクトリア・ベッカム、プロエンザスクラー、ケンゾーなど有名デザイナーズブランドの仲間入りをするまでに、認知度が高まりました.

Source : KINDERSALMON

キンダーサルモン(KINDERSALMON)は、顧客データの広範な活用を行っています。デザイナーのパク・ミンスンは「私たちは顧客の反応データを分析するためのシステムを構築しました。このデータを活用して、生産計画と在庫管理を最適化します。」と述べています。キンダーサルモンは、米国、中国などの消費者からグローバルなオンラインフォロワーを獲得しています。Instagramなどのチャネルを通じた顧客からの問い合わせ増加に伴い、ブランドは越境ECを立ち上げ、米国の有名デパートとも提携するようになりました。

ECがファッションデザイナーにとって好機である理由

デロイト(Deloitte)が発表した「Going Digital、Going Direct 」レポートによると、D2Cへの移行は5つの新しい機会をもたらします。

1つ目は収益の成長です。ブランドは独自のECチャネルを使用して顧客エンゲージメントを高めることができ、訪問数とコンバージョン率に影響を与えます。また、ブランドが従来の小売および卸売流通チャネルを迂回することで利益率向上に繋がります。

D2Cを追求するもう1つの利点は、市場への到達範囲が拡大することです。ブランドはローカル市場に限定されず、グローバルに販売ができます。たとえば、韓国のファッションデザイナーのブランドはInstagramで頻繁に注目されることにより、グローバル展開に繋がっています。

またブランドは、デジタルチャネル構築に多額の投資を必要としないため、設備投資(CAPEX)を削減できます。実店舗を必要としないため、ブランドはビジネスの成長のみに集中できます。

さらに、ブランドはネットショップから貴重な顧客データを収集できます。データは、顧客の好み、ライフスタイル、人口統計学的特性、購入経路を理解するための洞察を提供します。データは、ブランドがよりターゲットを絞った価値提案を提供する際に役立ちます。

最後に、D2Cはファッションデザイナーがより幅広い商品を提供できるようにします。デザイナーは、トレンドアイテムを購入する卸売業者から解放され、独自の方法でスタイルを開発することに集中できます。