新型コロナウイルスは、世界中の人々の生活を一変させました。様々な産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進させ、とりわけeコマースの成長を加速させました。「コンタクトレス(非接触型)コマース」において、Cafe24はコマースと小売業で起こるニューノーマルに注目しています。
新型コロナウイルスは、買い物やお金の使い方など、消費者の行動に多大な影響を与えました。数ヶ月にわたるロックダウン、厳格なソーシャルディスタンス(社会的距離)措置、健康リスクのある期間が続き、経済が再開しても、消費者は実店舗よりもオンラインでの買い物が増えています。このことから、コンタクトレス・エコノミーへ大きく転向していることがわかります。
eコマースは今や当たり前となっています。マッキンゼーの調査によると、パンデミック後も70%の消費者がオンラインでの買い物を続けると言い、28%の消費者は実店舗を全く利用しない予定だと回答しています。この数字は、消費者の行動の変化が、もはやパンデミックに誘発されたものではなく、今後も続いていく長期的な変化を示しています。
Publicis Health Mediaのエディトリアル・コンテンツ・コミュニケーション・ディレクターであり、CES 2021 Future of Contactless Shoppingカンファレンスのモデレーターを務めるLaura Heller氏は、「コンタクトレスショッピングは、数年前からのトレンドだ」と言います。加えて、「この種のソリューションは、あらゆる小売業者に受け入れられています。接触が危険な今において、モバイル技術は非接触な体験を提供していますが、コロナ禍以降にも対応できるソリューションといえるでしょう。」と続けました。
自社ECサイトやECモールが主流となっていますが、依然としてオフラインでの買い物を好む消費者もいます。店頭では、買いたい商品を直接見ることができる利点があります。消費者は間近で商品を確認できるので、十分な情報を得た上で購入することができるのです。
一方、オンラインショッピングでは、画像や動画、商品説明などを見て購入をするかどうか決めます。物理的な側面がないことが、D2C(Direct-to-Consumer)ブランドが解決できない問題だと主張する人もいるかもしれません。しかし、人工知能(AI)、機械学習、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)などの技術によって、オンラインショッピングでありながら実店舗で買い物するかのような体験ができるよう急速に変わっています。
ARやVRの導入が活発に
ソーシャルディスタンスが必要だった期間、小売業者は非接触な体験を提供する必要が高まりました。2020年前半のオンラインショッピングブームをきっかけに、企業は次の四半期に向けたeコマースの機能を検討し、投資することが多くなりました。ARとVRも、パンデミックを通して導入が進んだテクノロジーといえるでしょう。
ARとVRは数十年前から存在し、どちらもエンターテインメントやゲームで人気を博しています。新しいハードウェアとソフトウェアの開発により、ARやVRは「目新しいもの」から、広く普及するものへの兆しを見せています。医療、教育、マーケティング、旅行、不動産、小売など、様々な業界でARとVRの活用方法があるでしょう。より多くの企業やエンドユーザーがこの技術の有用性に気づくことで、世界のAR・VR市場は2024年に2969億ドルに達すると予測されています。
ARは、まるで小売やゲームの領域で伸び続けるソーシャルネットワークのように、イノベーションの大きな可能性を秘めています。eMarketerの調査によると、2019年に米国では7,280万人がARを、4,310万人がVRを月に1回以上利用しているとのことです。その後の予測では、マーケットの動向を反映して、ARとVRの利用者数は今後も増加し続けることが示されています。
店頭での体験を自宅にいる消費者へ
eコマースはショッピングの物理的側面が欠けています。そこで、実店舗で体験しているように感じられる技術がオフラインとオンラインの体験のギャップを埋めてくれるでしょう。パンデミック以前から、バーチャルでの試着機能には大きな関心が示されていましたが、ロックダウンが続くことで、導入を急ぐ企業が増えました。
MAC Cosmeticsなどの美容品ブランドでは、2020年3月以降、AR機能の利用が32%増加しています。バーチャルで商品を試す消費者は、そうでない人に比べて商品を購入する確率が3倍高く、消費額も10%多いと言います。一方、小売チェーンのMacy’sやファストファッションブランドのASOSでは、AI機能を使ってバーチャルに試着した消費者は、商品を購入する確率が5倍になり、返品率はなんと38%から約2%に低下したと言われています。
AR、VR、AIを活用しているのは、大手小売企業だけではありません。小規模なD2Cブランドも、AR、VR、AIを採用することで物理的な制限を取り払い、製品機能を体感できるようになっています。Cafe24では、購入前にアクセサリーを試着できるARやAIを使ったLololooks というLologem社の自社ECサイト向けアプリを提供しています。消費者はLolooksを使って、多様なアクセサリーをバーチャルで試着し、サイズ、形、色を確かめながら自分に最も似合うものを選択できるのです。
2020年1月には、様々なジュエリーブランドの自社ECサイトで、約4万人の消費者がこの試着機能を体験しました。多くの反響を受けて、このアプリはファッションや家具など、多くの商品カテゴリーにAR機能を拡大することに取り組んでいます。
AIは、実店舗の店員に代わって、過去の注文履歴やウィッシュリストから、消費者の好みに合った商品を提案し、消費者の購買をサポートしてくれます。AIによる商品レコメンドも、実店舗で購入しているように感じられる技術といえるでしょう。LologemのCEOであるHelen Kim氏は、「コンタクトレスな買い物の普及に伴い、自社ECサイトからの問い合わせがかつてないほどの勢いで増えている。」と述べています。
Lologemのようなサービスプロバイダーは、Cafe24のオープンなアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)ポリシーのおかげで、小売事業者向けの高度な技術がベースにある機能を迅速に展開することができます。Cafe24は、ハイパーコネクティビティの重要性を予見し、APIを公開している数少ないeコマースプラットフォームの1つです。サードパーティの開発者は、このAPIを使用して高度なサービスアプリを構築し、Cafe24 Storeを通じて小売事業者に提供することができます。
また、Cafe24とFacebookのパートナーシップにより、小売事業者はD2CブランドとFacebook ショップを連携させ、ARマーケティング機能を使って広告を作成したり、新しいブランドを発見したいと思っている消費者にアピールすることができたりします。こういったAR機能を通じて、あらゆる規模のブランドが、実店舗で商品を購入したいと思っている消費者のニーズに応えることができるのです。
eコマースにおける没入型技術の未来
ZDNetが公開したAR outlook(ARの展望)では、新型コロナウイルスがどれだけ没入型技術(ARやVRのような技術)の導入を加速させたかについて、専門家が意見を述べています。Institute of Electrical and Electronics Engineers(電気電子学会)のシニアメンバーであるDavid Witkowski氏は、没入型技術の進行は2021年まで続くと言います。「2021年、社会が健康面に配慮をしながらも、経済成長し続けるために、ARとVRは引き続き重要になるでしょう。2020年に見られた変化を考えてみてください。例えば、不動産業界ではウォークスルー動画やバーチャルツアーで内覧が行われるようになりました。このような商取引のバーチャル化は、2021年には成長し、他の産業にも広がっていくでしょう。」と述べています。
企業向けARソリューション企業「Scope AR」の共同設立者兼CEOのScott Montgomerie氏は、「モバイルARがモバイルアプリと同じ成長軌道をたどる兆しが見え始めている」と言います。開発者や消費者がこれらの技術を使いこなせるようになれば、より多くのARやVRアプリが飛躍的に発展する可能性があるのです。
AR、VR、AIがもたらすバーチャルの視覚化は、オンラインショッピングの利用者に、商品との新しい関わり方を提供します。消費者は、商品説明や写真を見てイメージするのではなく、商品の正確なビジュアルを感じられるようになります。このような技術によって、eコマース企業は追加のコンテンツや情報を打ち出し、消費者に店舗でのショッピングと同様の体験を提供できるでしょう。
人や企業のオンライン化が進む中で、AR、VR、AIのような技術は業種を問わず企業の発展に欠かせないものとなるでしょう。Cafe24はCafe24 Storeを通じて、規模の大小に関わらず、あらゆる自社ECサイトに革新的なツールやサービスを提供していきます。これらの技術の継続的な開発により、Cafe24を利用している小売事業者は、消費者の信頼と信用を高める没入型の体験を向上させ、売上と市場の需要を高めることができるのです。
① パンデミックの中で生まれる新しい経済
② オンラインショッピングではAR・VR体験が主流に
③ パーソナライズが今後のコンタクトレスコマースの要に
④ 越境ECに成長機会を見出す小売事業者たち
⑤ 次世代ECとなるソーシャルコマース・ライブコマース
⑥ Cafe24とのパートナーシップが事業者成功のカギ